公式コラムオカネの最前線

資産運用のアドバイスをしてくれる今話題の「ロボ・アドバイザー」とは

2017.04.29

著者:馬養 雅子

「資産を運用したいが、金融商品が多すぎて選べない」
「自分なりに運用しているが、今ひとつうまくいかない」
「分散投資の必要性は理解しているが、適切な資産配分がわからない」
という人は多いだろう。そんな投資家の役に立つのが「ロボ・アドバイザー」だ。

最適なポートフォリオを自動生成

「ロボ・アドバイザー」あるいは「ロボアド」とは、「ロボット・アドバイザー」の略称。IT(情報技術)と金融を融合させたフィンテックの一つで、現在、銀行や証券会社、金融ベンチャー企業などがこのサービスを提供している。

利用方法は簡単だ。
パソコンやスマートフォンからロボ・アドバイザーのサイトにアクセスして、あらかじめ用意された5~10程度の質問に答えていけばよい。そうすると、独自のアルゴリズム(計算方法)によってその人に合った資産配分(ポートフォリオ)が表示される。

例えば、ある銀行のロボ・アドバイザーは、
・年齢
・資産運用の目的
(老後資金作り・退職金の運用・余裕資金の運用・将来に備えた運用)
・現在の年収
・金融商品に対する知識がどの程度あるか
・運用資産に1カ月で20%の損失が生じた場合どうするか
(すべて売却・一部を売却・保有し続ける・追加投資する)
・リスク・リターンの度合いが異なる5つのポートフォリオのどれに魅力を感じるか
・積立投資をするかどうか

の7つの質問に答えていくと、その人のリスク許容度と、リスク許容度から算出したポートフォリオ、そのポートフォリオのリスク・リターンの将来予測チャートが表示される。
さらに、資産クラス別(国内債券、ヘッジ外債、海外債券、国内株式、海外株式、国内REIT、海外REIT)のインデックスファンドが表示され、総投資額を入力すると、ポートフォリオに沿った資産配分にするためには各インデックスファンドをいくらずつ購入すればよいかが自動計算される。

アドバイス型と運用お任せ型の2タイプ

1つは投資アドバイス型。ポートフォリオの提示後、運営会社に口座があってネットバンキングを利用していれば、そのままネット上で投資商品を購入できる。提案された投資商品を購入するかどうかは利用者各自の判断による。口座がなければ口座開設の手続きをすることも可能だ。サービスの利用は無料で、利用者は購入した投資商品にかかるコスト(信託報酬など)のみを負担することになる。

もう1つは投資一任型。利用者ごとのポートフォリオに合わせて運用会社が利用者に代わって投資商品の売買やリバランスを行い、定期的に運用成果を報告する。
運用まで任せる点は従来のラップ口座に似ているが、ラップ口座は預入資産が一定額以上でないと利用できず、預かり資産に対して1年あたり数パーセントの手数料がかかる。それに対して投資一任型のロボ・アドバイザーは少ない金額から利用でき、手数料は預かり資産の1%程度。投資する商品もETFやインデックスファンドなど低コストだ。証券会社や銀行へ出向く必要がなく、資産運用に手間や時間がかからないのもメリットだ。

おもなロボ・アドバイザー

資産配分の見直しにも使える

ロボ・アドバイザーは、どちらかというとこれから資産運用を始める人向けだが、すでに保有している資産の種類と保有額を入力すると、その資産配分の期待リターンや価格変動リスクを計算してくれるロボ・アドバイザーもある。質問に答えていって提案されるポートフォリオと現在のポートフォリオを比較できたり、リバランス案を提案してくれたりするロボ・アドバイザーを利用すれば、資産配分の見直しにつなげられる。

ロボ・アドバイザーは、サービスを提供する運用会社によって質問項目やポートフォリオに組み入れている投資商品が違うので、提案されるポートフォリオも異なる。投資一任型でもポートフォリオの提案までは無料なことが多く、個人情報を入力する必要もないので、何社かのロボ・アドバイザーを試してみて、納得できるところを選ぶとよいだろう。

(データは2017年3月末現在)

著者:馬養 雅子