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マイナス金利とトランプ相場、投資家はどう動いた?

2017.10.02

著者:馬養 雅子

2016年は、2月に日本銀行(日銀)が日本初のマイナス金利を導入し、預金金利が引き下げられるなど金融市場や金融商品にさまざまな影響をもたらした。その後、6月に英国がEU離脱を決め、11月に米国でトランプ氏が大統領に就任するなど、海外の事情によって為替や株価が大きく動いた。
波乱の2016年だったわけだが、その間、個人投資家はどのように動いたのだろうか。

マイナス金利で個人向け国債が人気化

マイナス金利の導入で、メガバンクや地方銀行など多くの金融機関の定期預金金利は、それまでの0.025%から0.01%に引き下げられた。
また、投資信託のうち、安全性が高く定期預金より高利回りのMMF(マネー・マネジメント・ファンド)は、マイナス金利による運用困難のため、10月までにすべて繰り上げ償還された。
安全性を重視した資金の預け先が狭まる中、注目されたのが個人向け国債だ。

個人向け国債は文字通り個人専用の国債で、国が元利の支払いを保証している。償還までの期間によって固定金利の3年ものと5年もの、変動金利の10年ものの3種類がある。金利はそれぞれ、発行されるときの同期間の一般の国債の金利を基準にして決められるが、最低でも0.05%は保証されている。
3年ものは2014年11月発行分から、5年ものは2015年1月発行分から、金利がこの最低水準まで低下しており、マイナス金利の導入によって、10年ものの初回金利も2016年3月発行分から0.05%になった。

それでも、預金金利の0.01%に比べると相対的に高く、0.05%以下に金利が下がることもないということから人気化し、4月には発行額が大きく増えた。その後も、高い水準で推移してきたが、2017年に入ってさらに発行額が急増している。
10年ものは変動金利なので、金利先高感で購入が増えた、あるいはトランプ相場に乗って株で利益を得た投資家の資金が流入したという見方がされている。金融機関が個人向け国債の購入額に応じたキャッシュバックなどのキャンペーンを行ってきたことも、販売を後押ししてきた。
だが、2017年4月から国が個人向け国債を販売する金融機関に支払う手数料が下がり、金融機関はキャンペーンを続けるのが難しくなる。個人国債人気がこの先も続くかどうかかはわからない。

為替はドル買いからドル売りへ

マイナス金利導入後しばらくは、円の対ドルレートが予想に反して円高に進んだこともあり、相対的に金利の高い外貨建て保険商品が人気化し、個人投資家のドル買いも増加した。
ところが、11月にトランプ氏が大統領に就任すると一気に円安が進み、一転してドルを売って利益を確定する流れとなった。2017年3月に米国が利上げし、この先も金利が上がりそうなのは米国だけなので、さらにドル高に進むと予測されるが、新大統領による経済の波乱要素も多い。ドルが下がる可能性を見越して様子見している個人投資家も多いのではないだろうか。

株は下落局面で買い越し、上場局面で売り越し

2016年の株式市場は、日経平均株価が年明けから6日間連続の下落で始まり、マイナス金利の導入が発表された直後と英国のEU離脱が決まった6月にも大きく下落。11月に米国に新大統領が誕生すると、一瞬大幅に下がったものの、その後は急上昇した。
東証1部の部門別株式売買状況で見てみると、個人投資家は2016年1月と6月が大きく買い越し、11月と12月が大きく売り越しとなっている。株価が下がった局面で積極的に買い、株価が上昇したところで売却して利益を確定したことがわかる。
2017年に入って、株価は1万9000円から1万9500円の間で動いており、これがいつ上へ抜けるのかがポイント。ただ、2017年も米国の経済政策や欧州各国での選挙など、海外の波乱要因で株価が乱高下する可能性もある点には注意が必要だろう。

著者:馬養 雅子