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マイナス金利で注目されるデパート積立&旅行積立

2017.11.27

著者:馬養 雅子

マイナス金利で注目されるデパート積立&旅行積立

2016年2月にマイナス金利が導入されてから、おもな銀行の定期預金金利は0.01%に引き下げらた。10年ものの個人向け国債の金利も、最低保証されている0.05%に張りついた状態が続いている。
そんな中で、高利回り商品として注目されているのが「デパート積立」や「旅行積立」だ。


利回り15%以上も

デパート積立は、大手のデパートが「友の会」などの名称で行っているサービスで、毎月一定額を積み立てると、満期時にボーナスが上乗せされる。
例えば、1万円を1口として毎月積み立てると、1年後には1口分がボーナスとして加算されて13万円分の買い物カードが受け取れる。12万円の積立に対して受取額は13万円なので、単純に計算すると年利回りは約8%。積立という点を考慮した実質の利回りは15%以上となる。預金とは比較にならないほどの高利回りだ。

1口分の金額は3000円、5000円、1万円、2万円、3万円などから選べる。積立期間が1年のコースのほかに、半年コースを設けているデパートもあり、その場合のボーナスは0.4カ月分というところが多い。

満期時の受け取りは、かつては商品券だったが、最近はほとんどのデパートが買い物カードになっている。商品券の場合はおつりが出ないため、買い物するとき商品券に小銭をプラスする必要があったが、カードならその面倒がない。一部のデパートでは、通販やネットショッピングでも買い物カードが利用できる。カードの利用に期限はない。
ただし、買い物カードは、商品券のように知人・友人に譲ったり金券ショップで売ったりすることはできない。

積み立て中は、買い物のほかホテル、レストランなど提携施設や催事などでの優待が受けられることも多いので、特定のデパートをよく利用する人にはメリットが大きい。

旅行好きなら旅行積立

積立をして旅行券などを受け取る旅行積立もある。毎月一定額を積み立てるほか、一括での預け入れもでき、満期にボーナス分がプラスされた旅行券や専用カードが受け取れる。

ANAの旅行積立は、満期の金額を5万円以上1万円単位で決め、積立回数を12回から60回までの9タイプから選ぶ。例えば30万円のコースで積立回数が12回だと毎月の積立額は2万4601円。満期に4788円がプラスされて29万5212円の旅行券を受けとる。
一括払いの場合の預け入れ期間は、6カ月から60カ月までの10タイプ。30万円コースで一括払い、預け入れ期間が12カ月だと、ボーナス分8737円を差し引いた29万1263円を一括で預け入れ、満期に30万円の旅行券を受け取る。旅行券の有効期間は5年だ。

JALもほぼ同じ仕組みだが、満期金額を1000円単位で設定でき、旅行券の有効期間は10年となっている。

いずれの場合も、利回りに換算すると2.4~3.0%になる。旅行券は航空券や旅行商品の購入のほか、ホテル、レンタカー、機内販売や空港売店・免税店でも使える。
旅行会社のJTB、HIS、JCBトラベルにも同じような旅行積立がある。

旅行積立は、利回りで見るとデパート積立に比べると見劣りするが、旅行好きなら利用価値がありそうだ。

ボーナス分は非課税だが注意点も

デパート積立や旅行積立は利回りが高いだけでなく、ボーナス分に課税されないので一般の金融商品より有利だ。
一方で、デパートや航空会社、旅行会社が破たんすると買い物カードが使えなくなったり、積立金が戻ってこなかったりすることもありうる。ボーナスの割合や優待内容などが変更される可能性がある点にも注意が必要だ。


*データは2017年7月現在

著者:馬養 雅子