司法書士事務所HOP

ドロ臭く、高度に人間くさいサービスの提供を志向します

最善の答えは、あなたが持っている

我々専門家がサポートできることは、最善の答えを提供することではありません。あなた自身が、あなたの家族が、あなたの会社が心の底から望んでいることは何かを一緒に模索し、ゴールを設定し、そのゴールまでの最善の道筋を提案することが専門家に求められている価値だと考えています。目的と手段を混同することなく、常に全体を俯瞰し、できる限り登場人物全員が笑顔となる解決策を、諦めることなく仕事をしています。

家が3つ、子供は3人

ある相続セミナー後の個別相談でのこと。60代のお母さんから「子供が3人いて、家が3つあるのですが、家の価値が全部バラバラで、平等に相続財産を渡すことが難しくて、とても悩んでいます。どうしたらよいでしょうか」と相談を受けました。それぞれの家の値段を査定して差額分をお金で用意できればよいのでしょうが、それができないから悩んでいるわけです。私が、「どうして、家が3つもあるのですか? 維持するだけでも大変だと思いますが」と聞いたところ、お母さんから「私たち夫婦は、親として大したことはできないけれども、最初の子供を授かった時に主人と話し合って、衣食住の『住』だけでもあれば、生活には困らないだろうと考え、子供には家を残してあげたいと決めていたのです」と話してくれました。私が、「そのことを3人のお子さんはご存じなのですか」と聞いたところ、「今まで一度も子供たちにそのことを話したことはありませんでした」とお母さん。「まずは、夫婦の想いをお子さん3人に伝えることから始めませんか。お母さんたちの想いは、売ったらいくらの不動産を子供たちに残したいのではなく、住む家として子供たちに残したいというものであり、その想いに金額の差はないと思います。そのことを伝えて、それでも不平不満がでるようであれば育て方を間違えたと思って諦めてください」と私から伝えて、その日は笑顔で別れました。その次の月の相続セミナーでお母さんにお会いしてお話を聞いたら、「子供たち3人とも理解してくれました」とにこやかに教えてくださいました。お母さんたち夫婦が子供たちに残したかったのは、「お金」ではなく「家」であり、そのことが明確になったからこそ笑顔になった事例でした。

出版に関与した相続本